中国インターネット大手の騰訊(テンセント)は2020年4月13日、クラウドサービス「騰訊雲(テンセントクラウド)」について、世界中の企業や医療機関、政府機関などが行う新型コロナウイルス対策をサポートするサービスパッケージをリリースした。主に「リモートワーク」「オンライン授業」「オンライン診療」「政府機関の情報伝達」といったシーンに利用できる多数のプロダクトが含まれ、クラウドでサービスを提供する。

新型コロナウイルス対策の支援内容を紹介するテンセントクラウドのホームページ
新型コロナウイルス対策の支援内容を紹介するテンセントクラウドのホームページ

 今回のサービスパッケージには、テンセントがこれまで新型コロナウイルス対策支援のために提供してきたさまざまなプロダクトが含まれている。例えば、テンセントが提供するビデオ会議プラットフォーム「騰訊会議(テンセントミーティング)」のグローバル版「VooV Meeting」。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、世界各国ではソーシャルディスタンス(人と人との距離)の保持と在宅勤務がニューノーマル(新常態)となっており、この情勢に対応するため、既に100以上の国や地域で無償提供されている。同ツールは最大300人まで同時使用が可能で、企業の在宅勤務や教育機関のオンライン授業、医療機関のリモート診断に応用されている。

 その他には、高品質な音声ビデオ通話ソリューション「Tencent Real-Time Communication」や、高性能なクラウドデータベース「TencentDB for SQL Server」、安定した高速ネットワークを提供する「Global Application Acceleration Platform」、AI(人工知能)を活用した字幕作成ツール「AI Transfy」なども含まれる。学校や病院などの医療施設におけるネット中継をサポートし、リモート授業やリモート問診などを実現する。

 加えて、ショートメッセージ送信サービス「Tencent Cloud SNS」も含まれる。同プロダクトはグローバルで200以上の国・地域にショートメッセージを送信できるため、政府機関が民衆に防疫情報を伝達することをサポートできる。

医療用情報プラットフォームも提供

 テンセントは、今回のサービスパッケージのリリース以前に、完全英語対応で世界中で利用できる、新型コロナウイルス対策を支援する医療用情報プラットフォームを別途、リリースしている。同プラットフォームには、テンセントの新型コロナウイルス関連の知識を提供する「騰訊医典(テンセントメディペディア)」や、感染状況を把握できるマップ、新型コロナウイルスのセルフチェックアシスタントツール、テンセント傘下の医師紹介サービス「微医(ウィードクター)」、中国の医療情報サイト「丁香園(ディンシャンユエン)」などのサービスが含まれ、必要十分な情報サービスを提供している。

セルフチェックアシスタントツールも提供

 テンセントは20年3月27日、新型コロナウイルスの感染状況を集計して公開するモジュールの国際版「TH_COVID19_International」のソースコードを、全世界に向けて開放した。世界中の政府や医療機関、メディアおよび新型コロナウイルス対策サービスの開発者などは、米国のソースコード共有サイト「GitHub(ギットハブ)」を通じて無償でソースコードを入手でき、自前の新型コロナウイルス感染状況の情報サービスを構築できる。

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