中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は2020年3月15日、クラウドで使われる自社開発の汎用型AI(人工知能)処理チップ「昆侖(クンルン)」が、工業製品の品質検査ソリューションを提供する「微億智造(マイクロインテリジェンス)」の品質検査設備に正式に導入されたことを発表した。これを機に工業界のスマート化に拍車がかかる見通しで、中国産AIチップが工業界で大量に利用される初めてのケースとなる。
クンルンの導入により、生産管理のプロセスで得られる膨大なデータを、AIで処理できるようになる。具体的には、生産管理プロセスで得た膨大なデータからさまざまな角度による関係性をモデル化したり、これまで表現が難しかった作業員の実作業を制御可能な数理モデルに変換したりする。また、クンルンは製造工程をコントロールする頭脳の役割も提供する。それによって、膨大なデータの背後に隠された新しい価値の発掘や、生産管理に不可欠な多くの経験の数値化、生産管理者が最善の意思決定を下したり、生産工程に出現する傾向を予測したりする際のサポートが可能になる。
クンルンの責任者によると、クンルンは中国で初めてクラウドで使われることを前提とした汎用型AI処理チップである。バイドゥが自主開発したXPU(異なるアーキテクチャーを組み合わせたプロセッサー)構造を採用しており、512GB/秒のメモリーバンド幅を提供し、150Wの消費電力で260TOPS(1秒間に260兆回の演算処理)という高い演算能力を提供している。その演算能力は業界内のAIチップで最高であることも伝えている。
新型コロナ流行中には生産復帰をサポート
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