中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)と臨床データ採集システムを手掛ける「子杰宝貝(ズージェーベイビー)」によって共同開発された医療現場向けの音声認識入力システムが2020年2月25日、山東省煙台市の煙台市伝染病医院に導入された。バイドゥはAI(人工知能)を使った音声認識技術を無償で提供することで、ズージェーベイビーの新型コロナウイルス対策支援に向けたシステム開発をサポートしている。

煙台市伝染病医院で使用されている音声認識入力システム。携帯デバイスに話しかけることで情報入力が可能(バイドゥのリリースより)
煙台市伝染病医院で使用されている音声認識入力システム。携帯デバイスに話しかけることで情報入力が可能(バイドゥのリリースより)

 現場の臨床看護師は通常、患者一人ひとりを看護し、身体状況や治療措置、症状の変化といった情報を記録する。一般的にはまず、手書きでさまざまなフォーマットの記録用紙に記し、それをパソコン上で病院の電子カルテに手動で入力して保存する作業が必要になる。その作業時間は通常1日当たり40~90分ほどであるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、作業時間は4~5倍に膨れ上がっている。

 目下の状況では、患者を助けるために医療現場で1分1秒が争われるなど、時間は非常に貴重だ。より多くの時間を医療現場に割くためには、事務作業を効率化して作業時間を短縮する必要がある。この課題を解決するために同システムとデバイスを両社は共同開発した。

医療分野の専門用語も識別できる

携帯デバイスに話しかけると、文字変換された情報が画面に表示され、確認できる
携帯デバイスに話しかけると、文字変換された情報が画面に表示され、確認できる

 看護師は「体温36.5度、血圧120/80mmHg、患者はもうろうとしており、咳(せき)、痰(たん)、黄色痰の症状」と携帯デバイスに話しかけることで、病院の電子カルテに情報を直接入力できる。専門的な医療用語の識別率も高く、音声認識によって「症状描写+関連数字」の文字に落とし込むことが可能で、指定のフォーマットで情報が入力された記録表が生成される。

実際に音声入力で生成された記録表(バイドゥのリリースより)
実際に音声入力で生成された記録表(バイドゥのリリースより)

 現在、医療分野の専門的な用語や記号の音声識別率は92%以上に達しており、医者や看護師がマスクや防護服を着用して声が多少くぐもっていても、正確に識別可能となっている。煙台市伝染病医院で実際に使用する臨床看護師は、「携帯デバイスに直接話すだけで記録してくれるなんて、本当に手っ取り早い」と感想を口にしており、有用性は高そうだ。