2020年1月29日、中国EC最大手のアリババ集団のクラウドサービス「阿里雲(アリクラウド)」は、新型コロナウイルスの分析および新薬やワクチンの研究開発に取り組む全世界の公的機関に向けて、同社が持つすべてのAI(人工知能)技術とその演算能力を無償で開放することを発表した。連絡窓口はアリクラウドの疫病に関するチャリティー活動を行うチーム「阿里雲疫情公益小組(メールアドレス:wanqing.hwq@alibaba-inc.com)」である。

新型コロナウイルスのワクチン開発の加速のため、AI技術を無償開放することを発表したアリババのリリース
新型コロナウイルスのワクチン開発の加速のため、AI技術を無償開放することを発表したアリババのリリース

 現在、中国で新型コロナウイルスが流行し、深刻な事態となっている。WHO(世界保健機関)の発表によると、2020年2月8日時点で感染が確認された患者数は全世界で3万1456人、うち中国で3万1211人。死亡者は全世界で638人、うち中国で637人となっている。中国国営企業の「中国疾病予防コントロールセンター(CDC)」が既に新型コロナウイルスの分離に成功しているが、新薬およびワクチンの開発は一刻を争う状況となっている。

 新薬およびワクチンの開発には、大量データの分析や大量の医学文献の選別、高速な計算作業が必要となる。そこで、アリクラウドは強力なAI演算能力を提供し、ウイルスのゲノム・シークエンシングや新薬の研究開発、タンパク質のスクリーニングなど作業時間の短縮を支援する。

 アリクラウドのAI技術と演算能力は世界でもトップレベルだ。アリクラウドは20年1月18日、ゲノム解析サービスで世界最大級の中国企業「華大基因(BGI)」に技術面で協力し、従来の手法では120時間を要する個人の全ゲノム・シークエンシングを15分で完了し、世界記録を更新している。

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