2020年1月9日、中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」上で動く「ミニプログラム(小程序)」が、リリース3年目を迎えた。同日に開催された公開授業「ウィーチャットオープンクラスPRO版」で、ウィーチャットオープンプラットフォーム事業部副総経理の杜嘉輝(ドゥー・ジャーフイ)氏は、ミニプログラムの3年間の実績と今後の展望ついて紹介した。その内容を整理して伝える。
ミニプログラムは3年間で急激な成長を遂げた。この多種多様なミニプログラムが、ウィーチャットのスーパーアプリとしての機能を支えている。日本では「ミニアプリ」とも呼ばれている。2019年末時点のデイリーアクティブユーザー数(DAU)は3億人を超え、累計取引額は前年同期比160%増となる8000億元(約12兆3600億円)に到達。その成長はさらに続く勢いだ。
ミニプログラムの数も増加の一途をたどっている。17年1月9日のリリースからおよそ1年半後の18年7月末時点で100万に到達。20年1月9日の講演では現時点の具体的な数は挙げられていなかったが、中国調査会社QuestMobile(クエストモバイル)のリポートによると、19年4月末時点で230万を超えている。
3年でミニプログラムの本質が大きく変化
ミニプログラムはなぜ急成長しているのか──。まず、ミニプログラムにより提供されるサービスのクオリティーが全体的に向上している。20年1月9日の発表時に公開した統計グラフによると、優秀なミニプログラムは増え、評価の平均値も全体的に向上し、アクティブ率の高いミニプログラムも大幅に増加している。
次に、幅広い業界で活用されていることが挙げられる。一つの領域にとどまらず、ライフスタイルから教育、飲食、ツールなど多くの領域でミニプログラムが増加していることから、ユーザーの間で広く親しまれていることが分かる。
そして、DAUの増加と併せて、実際の行動を伴った利用が増えている。18年と比較すると、19年のユーザー1人当たりのアクセス回数は45%増え、使用するミニプログラムの数は98%も増えているのだ。
さらに、ミニプログラム活用による収益も向上している。テンセントの広告強化策によってユーザーからの流入が増え、多くのミニプログラムの収益が増加した。特に、全体の中でロングテールの尾に当たる部分に位置するミニプログラムの収益向上が目覚ましく、18年は全体の収益の56%を占める程度であったが現在は76%に増加した。また、ECとリアル店舗(リテール)の両者に、大きな収益増をもたらした。増加した収益の大部分は、各市場でシェア上位を占める主要プレーヤー層のミニプログラムによるものとなっている。
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