日本で「キヨスク」というと、駅の売店が想起される。だが近年、海外ではファストフード店やフードコートなどにおける、タッチパネル型の注文決済端末のことを指す。店舗の省人化策として世界的に導入数が急増している。米国や中国、欧州や東南アジアなどでも日常的に利用されている。
米調査会社Dynata(旧SSI)によれば、世界のキヨスク市場は年々成長しており、2024年までに308億ドル(約3兆4000億円)に達すると予測されている。同社によれば、QSR(クイック・サービス・レストラン)2000店舗への調査で、18年に「キヨスクを使用して注文した」と答えた顧客は、前年比20%増の37%に達した。
特に、レジに5人以上が並んでいる場合には、75%の消費者がキヨスク端末での注文を選ぶと答えている。19年5月にシカゴで開催された飲食業界最大の展示会ナショナルレストランショーでも、キヨスクの出展企業が史上最多となった。
マクドナルド、ケンタッキーからレジが消滅
19年6月、日本国内のコーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」や、牛丼チェーンの「すき家」などがスマートフォンによる注文決済サービスを相次いで開始。マクドナルドも19年から沖縄・静岡のエリア限定で先行導入して、注目を集めた。
米国や中国では、モバイル・オーダー・サービスはこの3年ほどで一気に浸透し、特にファストフード業態での活用が見られる。多くの企業はキヨスク端末を並行して導入している。例えば、バーガーキングや空港のフードコートでもキヨスク端末を目にすることができる。そうしたファストフード業態からは、レジがその姿を消しつつある。
注文と決済を顧客自身で行うという点では、モバイルオーダーとキヨスク端末での注文は消費者から見て近しい購買体験となる。システム上も同じものが組み込まれている店舗が多い。双方の決済手段を導入している飲食店舗の場合、決済比率で見ると、モバイルオーダーよりもキヨスク端末のほうが高くなる傾向にあるという。
初回来店時の顧客や、スマホでの注文に慣れていない高齢者などには、銀行のATMの延長線上のような体験として利用できるキヨスクはなじみやすく、レジを置き換える存在として需要が高いのがその理由だ。
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