米国のキャッシュレスは西海岸ばかりに注目が集まりがちだが、ニューヨークでも生活に根付いている。代表例がニューアーク・リバティー国際空港だ。空港内のタブレット端末から飲食物を注文し、従業員が座席まで商品を運んでくれる。こうした体験重視のサービスを知ることは、キャッシュレス化推進の大きなヒントになる。
2018年は日本でもキャッシュレス・モバイル決済や無人店舗の存在に注目が集まり、かつてないほどに「店舗の未来像」が議論された年になった。ただ、国内ではまだ、何をもって成功とみなすのか、キャッシュレス化のメリットについては議論を呼んでいる状態だ。
一方、米国ではキャッシュレス化の波が東海岸にも及び始めた。シリコンバレーやアマゾン・ドット・コムの本社があるシアトルなど、技術先端地域として認識される西海岸だけのムーブメントではなく、ニューヨークでも着実に日常生活の中でのデジタル店舗イノベーションが浸透しつつある。
ニューヨークに学ぶことができるのは、店舗をデジタル化させるイノベーションの肝は「キャッシュレス」ではないということ。店舗にとって第一義は生産性向上による省人化であり、キャッシュレスはあくまで手段の1つだ。たしかに現金を廃止できれば、釣り銭機やレジを設置する必要がなくなり、コストの大幅削減が見込める。また従業員は、現金や機器の管理も必要がなくなり、店舗にとっては人件費の面でも大きなコスト削減が期待できる。しかし、それを定着させるには体験の設計が最も重要だ。
体験がキャッシュレス化推進のカギ
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