私たちは資料作成のかなりの時間を「何かの値の比較」に割いている。どんなビジュアルで表現すると効果的だろうか。値の大きさを比較するには、ずばり「棒グラフ」が鉄則だ。人間は、同じ起点の、同じ尺度による長さを比較するのが得意だからだ。ただ、棒グラフを作成するときに留意すべき点がある。うっかりルールを忘れると誤読を招くので気を付けよう。

私たちは資料作成のかなりの時間を「何かの値の比較」に割いている。自社の拠点の地域別売り上げや物流費など取引先別コスト、市場調査などの結果を比較したいとき、どんなビジュアルで表現すればいいだろうか。
本稿では、値の大きさを比較するビジュアルを紹介していく。ここにもゴールデンルールとベストプラクティスがある。カギは「長さ」。それぞれのポイントで、良い可視化とそうでない可視化を見比べてほしい。
順番を問わないなら降順か昇順に
値の大きさを比較するとき、棒グラフによる表現がベストであることが多い。なぜなら人間は、同じ起点の、同じ尺度による長さを比較するのが得意だからだ。なので、誰にとっても読み取りやすい。
項目の順番に意味を持たせる必要がなければ、降順または昇順に並び替えよう。そうすることで、項目間の大きさを比較しつつ、全体の中で各項目の順位や値がどのあたりに位置するかが把握しやすくなる。値の大きさの分布傾向や、大きな差がある項目にも気づきやすい。
しかし、有名企業やメディアで目にするものでさえ、必ずしも適切に棒グラフを使用しているとは限らない。第1回で述べたように、棒グラフもシンプルに作ることを心がけたい。
今回は、総務省統計局の平成28年社会生活基本調査結果から、関東地方の人々の通勤時間や雇用人口などを使って説明していく。
まず、雇用されている人が平日1日に費やす平均通勤時間を、関東地方に絞って比較する棒グラフを作った。

この棒グラフなら、どこが長い(短い)のか明白だ。誰にでも分かるグラフの良い例と言える。
一方、同じ棒グラフでも、誤解を生みやすい表現がある。上図の見せ方を変えた良くない例を挙げる。
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