@Yam_eye・2013年01月01日 構図は、ついつい人や建物をどのように納めるかを考えてしまうが、写真家の清水行雄は、旅行中いつも影の形を見ているそうだ。モノを納めるのではなく影を納める、やってみるとなかなか面白い。

写真集「機能の写像  写真家・清水行雄が18年間撮り続けた山中俊治の作品群」はshunjiyamanaka.com にて蔵出し販売中
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 物をつくるデザイナーにとって、写真家との出会いは大切だ。三宅一生氏とアーヴィング・ペン氏がそうであったように、デザイナーが生み出した物が被写体となることで、クリエイションが相互にドライブされる。私の場合は清水行雄氏だった。

 清水行雄という写真家がいなければ、今の私はなかったに違いない。本当に幸福な出会いだった。私の作品を記録してくれたというよりも、私の作品から、何かを引き出してくれた人だった。出来上がったモックアップを清水行雄のスタジオに持ち込むと、そのコンセプトが浮かび上がった。製品を持ち込むと自分が何を成したかを教えられる気がした。

 清水氏との関わりは、私がフリーランスとして最初にデザインしたカメラ「O-product」(1988)の写真を、今はなき『STYLING』誌で見つけたときに始まる。様々な媒体に掲載された写真の中で、最も強く「分かってくれている」と感じた1枚だった。多くの写真は「新登場のカメラ」を紹介するものだったが、清水氏の写真は、このカメラの幾何学的構造とアルミの質感を鮮やかに伝えるものだった。

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