@Yam_eye・2021年09月27日 見てみたいたいものを作る、面白いと思う方向に動く。そしてそこにイノベーションが潜んでいると信じる。デザイナーの仕事は、人の好奇心に対する信仰を基盤としている。

山中研究室最終展示「未来の原画」展のメインビジュアルとなった数々の矢印。山中の過去のスケッチから抜き出された(制作/岡本健デザイン事務所)
山中研究室最終展示「未来の原画」展のメインビジュアルとなった数々の矢印。山中の過去のスケッチから抜き出された(制作/岡本健デザイン事務所)

 先日まで開催された、山中研究室最終展示「未来の原画」展に関連するトークイベントとして、プロダクトデザイナーの柴田文江さんと、A-POC ABLE ISSEY MIYAKEのデザイナーである宮前義之さんと私とで鼎談(ていだん)が行われた。コーディネートしてくれたのは、デザインライターの角尾舞さん。そのトークショーテーマが本稿のタイトル「美しいモノをつくるということ」だった。ソフトウエアやインターネット体験など、さまざまな無形のものがデザイナーの手によって生み出される時代だからこそ、あえて形のあるものを作る意味を3人のクリエイターに投げかけるというのが角尾さんの意図だった。

 全体としてとてもスリリングなトークだったと思う。面白いのは、柴田さんも宮前さんもデザイナーとしての自分の個性が前面に出なくていいと考えていることだった。「できるだけハンナマに作って提供したいです」という柴田さん。ことさらに個人の主張を載せずに、人々の暮らしのなかで完成するようにしたいと言う。これに宮前さんも「三宅さんは『本当は服を作るチームにはデザイナーがいないほうがいい』などとよく冗談で、でも本気で言っていた」と応じた。「美しいデザインには創造の余白があるなと思っていて」。どこまでをデザイナーが決定するかを考えることが、とても重要だという。

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