@Yam_eye・2022年10月22日 先日、久しぶりに義足アスリートたちの練習会に参加した。初心者に肩を貸しながら楽しそうにアドバイスする先輩パラアスリート。一人一人に声をかけ、義足を調整して回る義肢装具士の臼井さん。14年前に私が初めて参加した時とまるで変わらない光景に、涙が出そうになりながら描いたスケッチ。

切断者スポーツクラブ「スタートラインTokyo(旧名称 ヘルスエンジェルス)」の練習会にて
切断者スポーツクラブ「スタートラインTokyo(旧名称 ヘルスエンジェルス)」の練習会にて

 「先生!お久しぶりです」。義足ランナーのOさんはとびきりの笑顔で手を振ってくれた。研究員と学生たちがテスト用に持ち込んだ、新作の3Dプリンター製の義足を眺めながら彼女は「今も義足の研究を続けてるんですね。こんなに長く義足に向き合ってくれるなんて、びっくりです」と目を細めて言った。私が初めてこの練習会に参加したのは2008年の秋。いつの間にか14年がたっていた。

 最初は、身体の一部が人工物であるという、人とモノとの濃密な関係に未来を感じて参加してみただけだった。関わり始めたところ、足を失った人たちの深い悲しみに直面してうろたえたこともあったが、結果として明るい未来のために共に歩む方法が見つかったと思う。デザイナーがほとんど参加していない世界だったので、丁寧にデザインしてみるだけで喜んでもらえたのだ。その後、私と学生たちはたくさんの義足を作った。今ではプロのデザイナーとして協力してくれている仲間もいる。それでもまだ「完成した!」と言うには至らない。

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