@Yam_eye・2016年12月24日 植物図鑑に描かれる絵は、「あらゆる細部を均等に記述すること」が最優先される。だから本来の視覚効果(影の部分は暗いとか上の葉の影が落ちるとか)や個体の特徴は極力排除され、花や葉の向きも「わかりやすさ」優先で調整される。その意味では、「知識」に特化した抽象画であると言える。

東京「KITTE丸の内」内にある博物館「インターメディアテク」で開催中の「プロトログ─山中俊治デザインの発生学」展のために描き下ろした、タカアシガニ。写真家の小野真太郎氏に収蔵品の撮影を依頼し、それをベースに描いた約50点のスケッチの1つである
東京「KITTE丸の内」内にある博物館「インターメディアテク」で開催中の「プロトログ─山中俊治デザインの発生学」展のために描き下ろした、タカアシガニ。写真家の小野真太郎氏に収蔵品の撮影を依頼し、それをベースに描いた約50点のスケッチの1つである

 ロンドンのノッティング・ヒル・ゲート駅から北に伸びる「ポートベロー通り」は有名な骨董街である。骨董市が開かれる週末は大変な人混みだが、通りに立ち並ぶ骨董店は平日も営業しており、のんびりとすてきなものを探すことができる。アンティークショップというと、どうしても高価な美術品や家具、食器などを思い浮かべるが、ここには旧式の計測器や特殊な工具、機械部品、活字、医療器具、地図など、日常的とは言えないさまざまな「古いもの」が売られていて実に楽しい。

 そんな中でお気に入りの1つが、昔の図鑑や事典などの図版を扱う骨董図版のお店である。もちろん大変高価なものも少なくないが、18世紀から19世紀の、動植物銅版画や工業図面などが、案外手ごろな値段で売られている。何度か訪れて、1枚数ポンドのバラ売りコーナーをあさってみた。時折、驚くほど精緻な図版に出会うのだ。

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