@Yam_eye・2012年02月22日 空想は頭の中だけで完結する物語。構想はそれを現実世界におろすための計画。デザイナーは空想を構想に変えられる人。

コンセプトカーCUE-Xのアンダーカバースケッチ(再現、原画は1984年)
コンセプトカーCUE-Xのアンダーカバースケッチ(再現、原画は1984年)
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 私のデザインはいつも、突拍子もない空想から始まる。

 20代の頃、日産自動車で最初にデザインしたコンセプトカーの初期スケッチの1枚は、大きな車が空を覆うように頭上を飛んでゆく姿を、車の下から見上げたアングルだった。ボディー下面の空気抵抗を減らすことが、燃費向上に効果的であることが知られたばかりの頃であり、下面が滑らかな車の絵を描いてみたかったのだ。複数の社内チームが提案する競合プロジェクトだったので、このスケッチはプレゼンボードにも使われた。来日したNissan Design Americaの先輩デザイナーたちが「このスケッチは素晴らしい!」とライバルだったのにもかかわらず絶賛してくれたのをよく覚えている。(残念ながらその絵は手元にない)

 2020年に発売されたパナソニックのロボット掃除機「RULO」のデザインにおいても、初期スケッチはかなり空想的なものだった。複数搭載された腕が部屋の隅のゴミをかき集める姿や、人と手分けして共同で掃除をするシーンなどが描かれていた。これらのスケッチは、技術コンセプトを表現した1枚だったとも言えなくはない。しかし実現性の観点からは、ただの妄想である。

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