@Yam_eye・2014年02月08日 アトリエは、今のところ積雪5センチ。外出はあきらめてお布団に戻る。
私のアトリエは小高い丘の上にあり、森に囲まれている。斜面から少し突き出すようにテラスが設けられ、前方には武蔵野の大地が広がる。得難いシチュエーションが気に入って、20年ほど前からここに住み始めた。それまではしょっちゅう引っ越していたので、こんなに長くここにいるとは予想しなかったが、今でも案外、飽きていない。
周囲の森には大小の広葉樹が雑多に広がる。整備された公園ではないので、コナラ、クヌギ、ミズキなどの巨木に藤が絡まり、互いに日照権を争ってひしめき合う。台風の翌日には大きな樹が根元から折れて、主役が入れ替わっていることもある。20年も窓から眺めていると、森というものは少しずつ変わっていくものなのだなと実感できる。
鳥の声は一年中聞こえるが、春から夏にかけては特に騒がしい。スマートフォンの睡眠設定の中には、穏やかな目覚めのための鳥のさえずりが設定されているが、ここではナチュラルに鳥たちに起こされる。聞き取りやすいウグイスの声はひときわ目立つが、ヒヨドリやメジロ、最近はガビチョウの声もかしましい。夏と秋は虫の声も加わって、それらがいつも背景音になっているが、案外不快ではない。進入してくる虫は多い。アシダカグモのおかげでゴキブリはめったにいないが、オオムカデには慣れっこになってしまった。
秋の紅葉が終わり、枝ぶりがあらわになる頃には随分静かになる。多摩エリアでも雪が深い北斜面なので、年に1、2度、15センチ以上の積雪がある。本当に無音になるため、雪が吸音材であることを体感する。積雪は長くはもたない。北風にあおられてたっぷりと雪を貼り付けた枝も、大抵1日で乾いた色に戻る。やがて少し暖かくなってくると、スズメバチの越冬女王が朝の巡回でガラスをコツコツたたいて、春の到来を告げる。
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