@Yam_eye・2018年08月14日 SIGGRAPHに参加。いきなり原画展に出合って立ちすくむ。20代の頃に一度でいいから原画を見てみたいと憧れ続けたものが、あまりに無造作に目の前にある。泣きそう。

「ガラスの車」、山中俊治、1990年、ガッシュ
「ガラスの車」、山中俊治、1990年、ガッシュ

 私の手元に、擦り切れた2冊の古い画集がある。1冊は『SENTINEL』という画集の初版本。1980年ごろに入り浸っていた神保町で買い求めたものだ。出版年が79年なので、おそらくは初回入荷時に手に入れたのだろう。

 当時、大学で学問に対する情熱を失って漫画ばかり描いていた私は、この本にすっかり魅せられた。めくるめくように描かれた未来世界を、それこそ寝ても覚めても眺めていた気がする。車に映り込む深い紫と鮮やかなオレンジの、夕暮れの空の色がどうしようもなく魅力的で、すっかり未来の空はこのような色なのだと思い込んでいた(実はそれがカリフォルニアの空の色そのものだったことを知るのは、10年後である)。

 画集の絵が、ガッシュという不透明水彩絵具を使って描かれているらしいことを知ると、早速買い求めた。私が描いていたのはスポーツ漫画だったので、まるで世界観は違ったのだが、そんなことはお構いなしだった。かすれを巧みに利用するドライブラッシュの技法も、画集を横に置いて繰り返し練習した。だからこの画集は、所々ガッシュで汚れているし、開きすぎてとじ目も綻びかかっている。工業デザイナーという仕事を知ったのも、この本を通じてだった。機械工学を専攻しながら漫画ばかり描いていた私には、「機械の絵を描く仕事」は夢のようだった。

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