@Yam_eye・2020年02月01日 デザイナーになる直前に、偉大なデザイナーたちが、何歳のときに何をデザインしたかを一覧表にして調べた。発見したのは、多くの先達が30代前半に最初の「すごい仕事」を残しているということだった。それもあって、29歳で独立したのだと思う。

ジョルジェット・ジウジアーロの最高傑作とも言われる、フォルクスワーゲン初代ゴルフ。発売された1974年当時、ジウジアーロは36歳だった。スケッチは著者が32歳のときに、そのデザインの空間構造を学ぶために描いたもの
ジョルジェット・ジウジアーロの最高傑作とも言われる、フォルクスワーゲン初代ゴルフ。発売された1974年当時、ジウジアーロは36歳だった。スケッチは著者が32歳のときに、そのデザインの空間構造を学ぶために描いたもの

 子供の頃に接したいわゆる偉人伝の中に、アルベルト・シュヴァイツァーの生涯を記したものがあった。彼は、20歳の頃に「30をすぎたら世のためにはたらくと決意した」そうだ。その一節が幼い私の心に、妙に鮮明に残った。そうか……30か……と。実際、オルガン奏者として活動していたシュヴァイツァー博士は、30歳から医学を学び始め、その後の生涯をアフリカでの医療にささげたという。

 そのことを思い出したのは、私が日産自動車に入社してカーデザイナーとなり、有名な先達の作品リストを眺めていたときだった。ジョルジェット・ジウジアーロは30歳のときに自らのデザイン会社を設立し、その後いすゞ117クーペ、アルファロメオアルファスッド、フォルクスワーゲン初代ゴルフ、フィアットパンダなど様々な歴史的名車を30代で手掛けた。同時代のカーデザイナーであるマルチェロ・ガンディーニがスーパーカーの代表ともいえるランボルギーニカウンタックを世に送り出したのは35歳のときだった。