@Yam_eye・2012年05月06日 伝記は、できるだけ遠い時代の、できるだけ遠い国の人の伝記を読むのが良い。参考にしようなどと思う必要はない。ただ人生の幅の広さを知ることができれば、自分がとらわれていることの小ささが見えれば、それで良い。

2017年春の卒業生のために描いた連作水彩画「猫」より
2017年春の卒業生のために描いた連作水彩画「猫」より

 小学校1年生の頃だったと思う。読書好きだった私のために母が、いわゆるママ友(当時はそんな言葉はなかったが)から文学全集を拝借する段取りをつけてくれたことがある。先の敗戦から20年も経っていなかった時代なので、そうした全集は大変貴重なものであったらしい。早速私は、その同級生に「ぶんがくぜんしゅうをかして」とお願いした。

 「ぶんがくぜんしゅう??…せっしゅうならあるよ」と、その子が貸してくれたのは小学生向けの雪舟の伝記だった。違う気がすると思いながらも私は、ありがたくその本を読むことにした。お寺の小僧だった雪舟が、絵ばかり描いている罰として柱に縛り付けられながらも、涙を絵の具として足の指で見事なネズミを描いたという有名な逸話が載っていた。住職がそれを本物のネズミと間違えたという話には、子供心に半信半疑だったが、そんな状態でも絵を描いてしまう少年にはひどく共感した。それに感化されてか、私はいつも授業中に落書きをしている子供になった。そして、多分にそのおかげで今、私はデザイナーである。

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