@Yam_eye・2016年08月29日 アディティブ・マニュファクチャリング(3Dプリンター)は本質的に生物的な形状と相性が良い。生物は型を使ったり削ったり、あるいは組み立てられたりして作られるものではなく、逐次造形されるものだから。

 東京大学生産技術研究所・山中俊治研究室の個展「Prototyp ing in Tokyo」は、サンパウロ、ロサンゼルス、ロンドンという世界3都市の「JAPAN HOUSE」を巡回して、2019年3月に終了した。この展覧会で注目を集めたのが「READY TO CRAWL」という作品。「すぐにはいはいできる」という意味のこのタイトルは、まもなくはうことができる乳児のある時期を指す英語表現に由来している。

 この研究は、ロボットなどの動作機構を3Dプリンターで製作するものだ。大きな特徴は、主要な構造物全体が一度にプリントされること。一般的にロボットのような複雑なマシンは、様々な素材を一つひとつ加工した多数の部品を組み立てて作られる。しかしこの研究の場合は、組み立ての工程がない。全体構造が一つのものとして造形され、そこにモーターを差し込み、電力を送ると、いきなり歩き始める。一連のロボットシリーズの名称をREADY TO CRAWLと名付けた理由はここにある。

 プロジェクトを推進する中心人物は、博士課程の大学院生、杉原寛である。「生物は、初めから完成された形で生まれてきます。ロボットもそういう風に生まれてくるといいなと思いました」と、彼は言う。3Dプリンターが、あらゆる工業製品を完成形のまま出力してくれる未来を示唆しているのかもしれない。