@Yam_eye・2016年07月15日 魔法の機械のように言われた3Dプリンター。普及してみると案外何も作れないじゃないかと言う人も少なくない。でも3Dプリンターでしか作れないものは確かにある。

スケッチは大学院生、谷道鼓太朗氏が進める構造触感プロジェクト「Al-Dente」。シンプルならせん構造がプルプルとした不思議な触感をもたらす
スケッチは大学院生、谷道鼓太朗氏が進める構造触感プロジェクト「Al-Dente」。シンプルならせん構造がプルプルとした不思議な触感をもたらす

 山中研究室の研究成果展「プロトタイピング・イン・トウキョウ」の3都市の「Japan House(外務省が設置した文化発信拠点)」を巡る展示は、サンパウロ、ロサンゼルスを経て、2019年3月、ロンドンを最後に終了した。いずれの会場でも数万人規模の来場者を迎えて、好評のうちに幕を閉じることができた。休日や展覧会の最終日には、長蛇の列ができたという。Japan Houseの洗練されたしつらえに助けられたとはいえ、私たちが目指した先端技術と美意識の接点が、世界の人々に受け入れられたことを、心からうれしく思う。

 この展覧会の非常に重要なパートを占めるのが、3Dプリンターの研究から生まれた成果物だ。東京大学生産技術研究所の新野俊樹教授との共同研究で生まれたものである。新野教授は日本を代表する3Dプリンターの研究者だが、3Dプリンティングの上位概念として「アディティブ・マニュファクチャリング(付加製造)」という言葉をよく使う。この技術の本質は「足して作る」ことにある。作り方そのものが新しいので、これまでにないもの、新しい価値を生む可能性があるのだと彼は言う。