@Yam_eye・2018年05月30日 少し作り散らしたら、言葉を与えてみるとよい。心のままに制作したオブジェたちには、さまざまな意思、願望、感覚、生理的な好悪などが入り交じっている。それらを整理し、分離、抽出してぴったりの言葉を与えることができたら、自分が本当に作りたかったものが見えてくる。

スケッチは、1998年にパナソニックの依頼で野菜室中心の冷蔵庫を提案した時のもの。タイトル(コンセプトワード)は「中央市場」。今でも気に入っている
スケッチは、1998年にパナソニックの依頼で野菜室中心の冷蔵庫を提案した時のもの。タイトル(コンセプトワード)は「中央市場」。今でも気に入っている

 数年前、香りの専門家である、東京大学農学部の東原和成先生にお会いした。東原先生いわく「ニオイは認識の問題と深く関わっている。『◯◯のニオイだ』と言葉を与えられた途端に、そうとしか思えなくなる」そうだ。同時に「言葉を与えることで、ニオイを深く味わったと言えるかどうかは分からない」とも言った。

 私にとっても、制作物と言葉の関係を考える上で、とても興味深い内容だった。言葉を与えることで、体験を定式化してしまう傾向は確かにある。ワインの香りについて分析的な言葉を聞くことは、結果的にその複雑な体験を、平板なものにしてしまってはいないか。美術品についての知識は、美的体験を単純化させてしまうのではないか。

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