クリスティーズのオークションでデジタルアート作品が6900万ドル(約75億円)で落札されるなど、マーケットの急拡大と新規参入が続くNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)。でも何度説明を聞いてもよく分からないという人もいるだろう。いったいどんなもので、どんな法律問題があるのか。福井健策弁護士に聞いた。
Q1 NFTについて教えてください。
A1 いやだな。そんなの私に聞かなくても、ずっと良い本やコラムがもうたくさん出てる。そっちを読んだら?
Q2 それじゃQ&Aになりません! 教えてください。
A2 知らないよ……。まあ、NFT関連の相談は確かに急増してるし、ではできるだけ簡単に「さわり」だけね。目標2500字。
まず、NFTが「非代替性トークン」の略だというのは知ってるね。「トークン」とは、ここではデジタル資産だと理解すればいいだろう。まあ言ってみれば「何らかの価値とひもづいたデジタルデータ」だ。代表例はビットコインやイーサリアム(ETH)のような暗号資産(仮想通貨)だね。トークンはブロックチェーンという、分散的なデジタル台帳の仕組みを使って流通していく。特徴は、データの改ざんが難しくて、また(パブリックチェーンなら)誰でも追跡可能で閲覧できること。少なくとも、そういう前提で大規模流通しているのはご存じの通り。
関連リンク(クリックで別ページへ):BeepleのNFT作品が75億円で落札、アート界に変革の兆し
Q3 その辺は何となく分かります。
A3 仮想通貨の場合は、当然ながら一つひとつのトークンは没個性だ。だから決済に使える。つまり代替的ね。これに対して非代替的な価値を示すトークンがNFT。はい、おしまい。
Q4 真面目にお願いします!
A4 ごめん。代表例はアートNFTだね。例えばデジタルアートを作る。
関連リンク(クリックで別ページへ):「OpenSea」上で売買されるCryptoPunksの作品
よく言われることだけど、デジタルは複製できるから、このデジタルアートもコピーは幾らでも作れる。まあオリジナルもコピーもないわけだ。
Q5 その辺も、よく分かります。
A5 でもこのアート作品について、作家がデータの置き場所なんかとひもづいたトークンを1つだけ作るとどうだろう。するとこれが、ある種のデジタルの保有証明書になるわけだ。これをブロックチェーン上で(オンチェーンで)移転する。すると、NFTを譲り受けた人はデジタルアートを所有しているように見える。つまり、デジタルアートに疑似的なオリジナル性というか、唯一性が生まれて、取引しやすくなるんだね。
先ほどのあのデジタルアート。あれは2021年11月に、NFTとしては恐らく史上最高値を付けた「CryptoPunks」といわれるプロジェクトの作品だ。約12万4500ETH。24×24ピクセルしかない絵が、なんと現在(21年12月27日)の時価で約580億円で売買された。
関連リンク(クリックで別ページへ):
・Artnet
Q6 ご、580億円? あのカクカク絵が? じゃあ作ります! 僕も作ります!
A6 落ち着け。
Q7 これはデジタル作品についてだけ作れるものですかね?
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