2020年12月10日、東名高速道路であおり運転を受けた夫婦が死亡した事故に関して、インターネット掲示板に事件とは無関係の会社の情報を投稿したとして名誉毀損罪に問われた男性について、有罪判決(罰金30万円)が言い渡された。どういった理由で有罪判決となったのか、弁護士の清水陽平氏に聞いた。

あおり運転による“被害”は世間の注目を浴びており、それに関連するデマ投稿も、同様に関心を集めている(写真/Shutterstock)
あおり運転による“被害”は世間の注目を浴びており、それに関連するデマ投稿も、同様に関心を集めている(写真/Shutterstock)

Q1 まず事件の概要を説明してほしい。

A1 東名高速道路であおり運転をした男性(以下「別件被疑者」)が逮捕された後、インターネット掲示板で別件被疑者の「親って八幡西区で建設会社社長してるってマジ?」との書き込みがされ、それへの返信として「これ?違うかな」としつつ、別件被疑者と同じ姓の、無関係の北九州市八幡西区にある会社の住所、電話番号が掲載されたWebページのURLが投稿された。

 この投稿を行ったのが被告人であったが、被告人は当初不起訴処分となったものの、検察審査会において起訴相当の議決がされたことで、本件が起訴されることになった。

Q2 名誉毀損罪が成立するには、どういう要件が必要なのか。

A2 名誉毀損罪は、刑法230条1項に定められており、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損」することが必要とされている。名誉とは、人の外部的な評価、社会的評価のことを指すとされている。従って、事実を摘示することで、人の社会的評価を低下させることが要件といえる。

 また、名誉毀損罪は過失犯がないため、故意があることが要件となる。なお、故意とは、意図まで要求されるものではなく、あくまでも結果発生の可能性を認識していれば足りるため、例えば「あの人物の社会的評価を貶(おとし)めてやろう」といったことまでは必要ではない。