相も変わらず、転売を巡るトラブルと報道は後を絶たない。数年前に社会問題化して禁止法までできたチケットの高額転売から、直近では鬼滅の刃コラボチョコの買い占めまで、まさに日替わり報道状態だ。果たして、高額転売は何が悪くて、法律的にはどうなるのか。福井健策弁護士に聞いた。

(写真/Shutterstock)
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 買い占め・転売が社会問題化してから久しい。ユニクロコラボTシャツや人気のご当地菓子、日向坂46の握手券転売での“出禁”措置、2020年に入ってからも新型コロナ禍でのマスクの買い占め・転売、古着のアプリ転売での逮捕、Go Toトラベルのクーポン転売、さらには鬼滅の刃コラボシールまで、まさに枚挙にいとまがない。

Q1 転売は違法ですか?

A1 ストレートだな……。これは場合による。ただ、法律の原則を言えば、誰が何を買っていくらで転売しても、実は自由だ。いわば、市場経済というのはそういうものなのだ。

Q2 そうなんですか? でもチケットや古着の転売で逮捕者が出てますよね?

A2 うん。原則は自由だが、そうすると特に希少な品などは誰かが買い占めて値段をつり上げると、みんなが困る。そこで、特に買い占めや高額転売の弊害が大きいコンサートのチケットのように、特別法で高額転売を禁止する例がある。これは19年に「チケット不正転売禁止法」が施行されて、刑事罰もある。

 それから、別な目的で特に転売が規制される例もある。代表格は「古物営業法」という法律で、中古品の売買をなりわいとして、つまり繰り返し行うような場合には都道府県の免許がいるのだ。

Q3 えっ、自分が着ていた服をフリマアプリで売っちゃダメなんですか?

A3 いや、対象は「古物の売買」なので、新品を買ってきて売るだけなら、「古物」を買ってはいないので問題ない。中古品を買ってきて転売するということを繰り返すと「売買」になって、無免許なら刑事罰がある。20年も古着の売買で会社員が送検された。これは、盗品の売買などがまん延しないよう、禁止ではないが許可制にしたのだ。

Q4 ただ、安く買って高く売るのは単なる経済活動で、市場原理だっていう意見もありますよね?

A4 特に“転売ヤー”や転売サイトの経営者に多い意見だね(ニヤリ)。一理あるが、買い占めを伴うと話は変わるだろう。貴重品や必需品を買い占められたら、人々はしぶしぶでもつり上げられた値段で買わざるを得なくなる。それは市場原理ではなく、「市場の失敗」というべきだ。

Q5 確かにマスクなんてひどいですよね。それ以上に鬼滅のコラボシール。あの買い占めだけは許せませんね!

A5 ……いや、鬼滅だけが許せないかはよく分からないが、特にマスクなどは新型コロナまん延の中で買い占められて買えなくなると、人々は社会生活を営めない。例えば医療従事者や介護者はマスクがなければ業務を行えず、人命にさえ関わる事態だった。

 そんな事情で、国民生活安定緊急措置法という古い法律が発動されて、市販マスクや消毒液の高値転売が禁止されたのは記憶に新しい。まさに、異常な市場活動を是正しようとしたわけだ。

Q6 まとめると、そういう特別法などで特に規制されていない限り、買い占めと転売にはなすすべがないと?

A6 うん、そうとは限らない。例えば「転売禁止」とか「お1人○個まで」とはっきり表示して、いわば条件付きで販売している商品があるとしよう。それを転売目的ではないと偽って、あるいは購入個数を偽って手に入れれば、つまりは販売店をだましているわけだ。だまして商品を入手していることになって、これは販売店に対する詐欺などに該当する可能性がある。

 現に、チケットの事例だが、詐欺容疑で19年の時点で既に10件以上の逮捕例が出ていた。こういう、詐欺や規約違反で入手した商品の転売も、広い意味での「不正転売」と言えるだろう。

Q7 でも現実には全く止まってませんよね? どうにかならないんでしょうか?

A7 確かに、こうした不正転売はフリマアプリやSNSで売り出されたときに捕捉されるケースが多いが、こうしたアプリは一般に匿名性が高く、摘発しようにも現実には容易でないケースも多い。ここはフリマアプリやSNS側の努力が重要だろう。

 例えば、小売店チェーンと連携して買い占めのような異常な商品の動きが起こった際にいち早く把握して、出品を禁止したり、不正転売をするアカウントを凍結したりするなど、自主的な対策が望まれる。

Q8 なるほど! ところで、どこかに鬼滅チョコが残っているお店はないですかね?

A8 なぜ私が知っていると思うんだ。