新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、人との接触機会を減らすことが求められたことで、テレワークを導入する企業が急増した。しかし、事前の十分な準備期間もなくテレワークを導入せざるを得なかった企業が多い。そのため、急激に変化した仕事環境における指導・監督や人事評価に戸惑う管理職も出てきている。そこで、現在と未来のテレワークにおける指導・監督や人事評価などについて、フランテック法律事務所代表の金井高志弁護士に聞いた。

テレワーク従業員と出勤従業員が混在する今、人事評価に頭を悩ませる管理職は多い(写真/Shutterstock)
テレワーク従業員と出勤従業員が混在する今、人事評価に頭を悩ませる管理職は多い(写真/Shutterstock)

コロナ前後でテレワークの位置づけは大きく変わった

Q1 当社では緊急事態宣言解除までの緊急避難的な施策としてテレワークを導入してきたが、解除後も公表される都内の感染者数がむしろ増加していることもあって、テレワークを継続している部署、従業員がまだ多い。テレワークの長期化を想定しておらず、また2020年上半期の人事評価についても、テレワーク下の評価方法が確立していないため、混乱が生じかねない状況だ。

A1 日本の社会は新型コロナウイルス感染拡大前の「ビフォアコロナ」、感染対策をしつつ経済活動を行う必要がある「withコロナ」、コロナ危機が収束した「アフターコロナ」にフェーズ分けされる。それぞれのフェーズで、企業がテレワークを導入する目的は異なっている。

 ビフォアコロナ期のテレワークは、主に育児や介護を理由に従業員が離職することを防ぎ、人材を確保するために導入された。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、出社することが他人との接触機会を生じさせ、従業員のコロナ感染の危険性を高めるため、出社自体が健康リスクのある行為になった。そのためwithコロナ期では、労働契約法第5条に基づく安全配慮義務(企業が従業員に対して負う、従業員の生命・健康を、事故・災害・疾病などの労働災害等の危険から保護するように配慮する義務)の一環として、感染予防のためのテレワークへと目的が変わった。

 また、withコロナ期のテレワークには、従業員間の感染で業務が中断されることを防ぐ、BCP(事業継続計画)の一環という側面もある。

 そしてアフターコロナの社会では、withコロナ期の経験からテレワークでも仕事ができる職種・業務が明らかになったことを踏まえて、テレワークが積極的に導入されていくと考えられる。これは「働き方改革関連法」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)に基づいて、企業が従業員の働き方の多様性を確保して働き方改革を達成するための取り組みでもある。

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