新型コロナウイルスの感染防止策として、人との接触機会を減らすことが求められている現在、宅配荷物を玄関先やガスメーターボックスの中などに置いて配達完了とする、いわゆる「置き配」が注目を集めている。しかし置き配は便利である半面、手渡しの配達では想定されなかった盗難や損傷のリスクがある。そこで、置き配に関するトラブルを巡る責任の所在やリスク軽減策などについて、フランテック法律事務所代表の金井高志弁護士に聞いた。
Q1 置き配とはどのような配達方法を意味しているのか?
A1 「置き配」は、新型コロナウイルスの発生によって注目度が急速に高まった。そもそも置き配は、荷物の再配達率を下げて宅配業務を効率化する施策として積極的に導入が進められてきた配達方法である。この背景には、EC市場の拡大に伴う宅配需要の増加とトラックドライバーの不足がある。
置き配は、もともと米国で行われていた配達方法だ。米国では、自宅玄関前に荷物を置きっぱなしにして配達完了とする配達方法のことを指している。他方、日本における置き配は、例えば、マンションや駅に備え付けの宅配ボックス、玄関先、ガスメーターボックスの中などに荷物を置く方法を指す。つまり、「荷物の受取人が指定した場所」に置くことで配達完了とする配達方法と考えられている。
ただし、玄関先やガスメーターボックスの中は、宅配ボックスと比較するとセキュリティーが不十分なため、盗難や損傷のリスクが高い。議論になるのはこうした盗難や損傷のリスクが高い場所への置き配である。つまり狭義の置き配は、「セキュリティーが不十分な玄関先やガスメーターボックス、自転車カゴ、個人で設置する宅配ボックスなどの場所に置くことで配達完了とする配達方法」ということができる。
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