2020年4月28日、非営利の教育機関でのオンライン講義のために、他人の著作物を送信利用することが原則自由化された。教育オンライン化の鍵を握りそうな大きなルール導入で、教育界はこの話題で持ち切りだ。果たして、どこまで、どんな条件で利用できるのか。福井健策弁護士に聞いた。

オンライン教育に欠かせない、著作権に関する新たなルールが導入された(写真/shutterstock)
オンライン教育に欠かせない、著作権に関する新たなルールが導入された(写真/shutterstock)

Q1 どんな教育機関で使えますか?

A1 対象は非営利の教育機関だ。典型的には小中高校、大学、専門学校、幼稚園・保育所、それに公民館・図書館・美術館などの社会教育施設も広く含まれる。非営利機関であれば、かなり幅広く対象になると考えていいだろう。

 他方、営利目的で企業や個人が運営する予備校や塾、企業が開催するセミナーなどは対象外だ。

Q2 どんな範囲で自由化されたのでしょうか?

A2 従来、非営利の教育機関では授業の過程で必要な場合、公表された著作物を複製して配布したり、リアルの教室授業を同時でオンライン受講する学生・生徒に送信したりすることは許されていた(著作権法35条)。それを、リアルの授業を伴わない完全スタジオ配信やオンデマンド講義、また予復習のための事前・事後の送信も含めて自由化したのが今回の措置だ。

Q3 いつ自由化されたのですか?

A3 施行は2020年4月28日だ。本来は、今回の法改正で追加されたリアルタイム以外のオンライン講義で人の著作物を使う場合、許可は不要だが適正な補償金の支払いが必要とされている。その補償金の額や徴収分配を担うのがSARTRAS(一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会)という長い名前の組織。ここを事務局に、出版社を含む権利者と教育関係者が、「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」を開いて補償金の額を協議していたのだが、議論は難航していた。

 しかし、コロナ禍でオンライン講義の即時施行が待ったなしとなったので、権利者側が今年度に限っては補償金ゼロとすることを決断し、文化庁が前倒しでの法施行を決めたのだ。