出口が全く見えない新型コロナウイルス禍。ついに政府が緊急事態を宣言する中、イベントやセミナー、会議のオンライン化が加速している。ここで気になるのは著作権だ。配信にはいったいどんな注意事項があるのだろうか。著作権に詳しい福井健策弁護士に聞いた。

新型コロナウイルス対策で、オンライン会議やセミナー、イベントのオンライン配信が増えているが……(写真/Shutterstock)
新型コロナウイルス対策で、オンライン会議やセミナー、イベントのオンライン配信が増えているが……(写真/Shutterstock)

 コンサートやセミナーなどのイベントは次々と中止。企業は社員のテレワークを推進している。リモート勤務となれば、社内の打ち合わせすら対面ではできない。コミュニケーションする生き物「人類」にとっては、まさに戦後最大の危機のひとつと言えそうな状況だ。

 こうした中、人気グループのDIR EN GREYが無観客ライブ開催を敢行してTwitterの「トレンド」で世界ランク3位になるなど、大小イベントのライブ配信が加速。セミナーのオンライン配信サービスにも人気が集まり、Zoomなどテレビ会議システムの需要も急増した。今や生き延びるための必需品とも言えるオンライン配信だが……。

Q1 イベントやセミナーをオンライン配信したいんですけど、そこで他社の映像とか出版物を使いたいんです。できるでしょうか。

A1 では、かいつまんで著作権の基本をおさらいしよう。映像も出版物も、多くの場合は著作物に当たる。例えば過去のイベントの映像なら、そこには映像そのものだけでなく、台本や音楽、さらに映り込む作品などの著作物が含まれており、それぞれに著作権がある。オンライン配信は「不特定又は多数」の人々に届ける場合は「公衆送信」なので、権利者の許諾がないとできないのが原則だ。

 よく「非営利ならいいですよね」と聞かれるが、確かに非営利の一定の演奏や上映は、権利者の許可がなくてもできるという著作権法の例外がある(38条)。だが、残念ながら「非営利の公衆送信」という例外規定はないので、非営利団体であれ個人であれ、オンライン配信のためには使用する著作物について権利者の許可を得るのが原則となる。

 ただし、「引用」は許される(32条)。引用の法的基準は揺れているが、(1)未公表作品を避け、(2)人の作品だと分かるように明確に区別し、(3)あくまでも説明の補足程度に使う(附従性などという)、(4)改変しない、(5)出典の記載をしっかり行う、などの注意点に気を付ければ、おおむね許諾なく利用できるだろう。

Q2 なるほど。あと、フリー素材なら使っていいんですよね?

A2 もちろん、許諾を得れば問題なく使えるので、フリー素材やCC(クリエイティブコモンズ)といって、最初から権利者が利用自由という条件で公開している作品は利用可能だ。このときには、利用条件をよく確認するようにしてほしい。

Q3 時折、古い、明らかに著作権の切れた作品について、管理者のような団体が「無断利用禁止」など表示していることがあって迷うのですが……。

A3 これは意外と多い。まずはその理由を読むことだが、人が管理する施設に無断で立ち入って撮ってくるような場合を除いて、あまり法的根拠はないことが多いだろう。

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