AI(人工知能)およびビッグデータを活用し、社会の在り方を根本から変えるような、スマートシティ化と呼ばれる都市設計の動きが、国際的に急速に進展している。日本では2020年2月4日、スマートシティの先駆けとなるような「スーパーシティ構想」を実現する国家戦略特区法改正案が閣議決定された。今回は、スーパーシティ構想について、弁護士の二木康晴氏に聞いた。
Q1 世界中でスマートシティに関する議論は進んでいるのか。
A1 現在、多くの国でスマートシティに関する取り組みが検討されている。人口増加、交通渋滞、環境汚染など現在の都市型の社会問題を解決する手立てとして、各国でスマートシティが注目されている。
2017年、カナダのトロントのウオーターフロント地区では、再開発プロジェクト「サイドウオークトロント」が発表され、米アルファベットの子会社であるSidewalk Labs(サイドウオークラボ)がプロジェクトの実施を受託している。
このプロジェクトでは、開発地区全体で、エネルギーや物流といったインフラの整備、建築物や道路のデザインといったハード面から、リアルタイムな交通調整などのソフト面に至るまで、すべてを統合した上で効率的に運営するまちづくりを目指している。
また、中国では、EC大手のアリババ集団が開発した「ETシティブレイン」の導入が進む。アリババ集団の本社がある杭州市では、交通状況に応じた信号の自動制御により、道路上の平均移動速度が15%上昇し、緊急車両の対応時間も半減、救急車の到着を7分早めることができたとされている。また、道路上のライブカメラ映像をAIが自動で収集し、異常を認めた場合に警察へ自動通報する仕組みもあり、事故特定の精度は92%を超えている、とのことである。
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