2017年に改正個人情報保護法が施行されてから3年を経過したため、予定通り、法の運用実態を踏まえた見直しが20年に行われる予定である。この法改正がデータビジネスにどのような影響を与えるのか、中崎尚弁護士に聞いた。
Q1 個人情報保護法の改正が近々に行われるとのことだが、どのようなスケジュールが予定されているか。
A1 2019年12月に「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱」が個人情報保護委員会より公表されました。この制度改正大綱では、法改正が必要とされている背景と、それを踏まえた改正の方針が、説明されています。現在、この方針に沿った改正法のドラフトの準備が進められており、20年通常国会に改正法案が提出されることが予定されています。
Q2 前回の改正からあまり時間がたっていないうちの改正だが、なぜこのタイミングなのか。
A2 15年に個人情報保護法が改正された際、03年の個人情報保護法の立法から10年以上経過していて大幅な見直しが必要になったこともあり、次回は施行から3年をめどに見直しを行う方針が定められました。
具体的には、15年改正法附則第12条第3項において、政府は、同法の施行後3年ごとに、個人情報の保護に関する国際的動向、情報通信技術の進展、それに伴う個人情報を活用した新たな産業の創出および発展の状況等を勘案し、15年改正法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものと定められたことを踏まえたものです。
今回の法改正は、この3年ごとの見直しの方針に沿ったスケジュールで進められたため、このタイミングでの法改正となりました。
データビジネスへの影響は多岐にわたる
Q3 今回の法改正で、データビジネスへの影響が想定される改正事項としてはどのようなものがあるか。
A3 データビジネスへの直接的な影響が想定される改正事項としては、開示等の請求の対象の拡大、オプトアウト規制の強化、「仮名化情報(仮称)」の創設、端末識別子等の取り扱い、域外適用の範囲の拡大、外国にある第三者への個人データの提供制限の強化があります。
とりわけ、「仮名化情報(仮称)」の創設、端末識別子等の取り扱いについては、データビジネスへの影響が大きいことが予想されます。 なお、その他の改正事項としては、本人による権利行使要件の緩和、開示のデジタル化、PIA(個人情報保護評価)・個人情報取り扱い責任者の推奨、適正な利用義務の明確化、第三者提供時の確認記録義務の開示義務化、ペナルティーの厳格化、漏洩等報告および本人通知の義務化、認定個人情報保護団体制度の多様化が予定されています。
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