2019年11月27日、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)の改正案が、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。改正薬機法では、一定の要件のもと、オンラインによる服薬指導が可能となる。今回は、遠隔医療の現状について、弁護士の二木康晴氏に聞いた。
Q1 今回の法改正によって何がどう変わるのか。
A1 これまで薬機法では、オンラインによる服薬指導が禁止されており、対面での服薬指導が義務付けられていた(薬機法9条の3)。今後は、厚生労働省令で具体的に定める要件のもと、オンラインやテレビ電話などを利用して服薬指導を行うことが可能になる。
既に2018年6月に国家戦略特別区域諮問会議にて、愛知県、兵庫県養父市、福岡市におけるオンライン服薬指導の実施計画が認定され、一部の特区内では先行して、オンラインによる服薬指導が行われてきた。
特区内でオンラインによる服薬指導を行っている事業者からは、地理的・時間的な利便性だけではなく、患者の薬剤の管理状況や、残薬がどのくらいあるのかなどについても簡単に確認できる、などのメリットもあると指摘されている。
厳しい条件が課されれば普及に時間がかかる
Q2 オンラインによる服薬指導は今後進むのか。
A2 現状、特区で実施されているオンラインによる服薬指導については、離島、へき地に居住する者に対し、遠隔診療が行われ、対面での服薬指導ができない場合に限り可能、という厳しい条件が課されている。このため、ほとんど利用されていないのが実情である。
今回の改正でも、オンラインやテレビ電話による服薬指導が認められる場合の詳細は厚生労働省令で定められることになっており、同様の限定が付されるのであれば、普及までにはまだ時間を要するであろう。
また、オンラインによる服薬指導を単体で考えるのではなく、遠隔医療という全体の枠組みの中で議論する必要があるだろう。
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