企業の法務部や法律事務所において日常的に発生する契約書のレビュー業務。これをITの活用で効率化するツールがいくつか登場している。今回はその1つ、LegalForce(東京・千代田)への取材を通じ、高橋喜一弁護士がAI(人工知能)による契約書レビューの到達点を解説する。

Q1 LegalForceが提供する契約書レビュー支援ソフトウエア「LegalForce」の主な機能は何か。

A1 LegalForceは、契約書をアップロードすると自動的にその契約書のレビュー結果を画面に返す機能がある。マイクロソフト「ワード」形式、またはPDF形式のファイルをブラウザーからアップロードすると、欠落している条項や記載を指摘したり、よりこちら側に有利な内容への修正案をほぼ瞬時に提案したりする。特筆すべき長所の1つは、このスピード感である。

ブラウザー上で動作するLegalForce。瞬時にレビュー結果が画面上に返される
ブラウザー上で動作するLegalForce。瞬時にレビュー結果が画面上に返される

このスピード感は心地よいと思った。試しに筆者が過去に作成した契約書を無造作にいろいろとアップロードしてみたが、各条項についてさまざまな「ツッコミ」が入れられており、その中にはごもっともな意見も結構あった。もちろん各個の指摘を全て採用すべきかというとそうでもないので、出てきたレビュー結果を取捨選択する知識は必要となる。これは法務部員や弁護士など、プロ向けのツールであるという第一印象を受けた。

Q2 LegalForceで対応できる契約書の類型にはどのようなものがあるか。

A2 秘密保持契約、業務委託契約、人材紹介契約、コンサルティング契約、SW 開発委託契約、取引基本契約、共同研究契約、共同出願契約、個人情報保護の覚書、物流委託契約、労働者派遣基本契約、定期賃貸借契約、利用規約、一般条項、プルーフリードなどがある(2019年8月時点)。現在、他の契約類型にも対応できるよう開発を進めている。

あらゆる契約類型に対応しているわけではないのだが、企業法務において頻出するのは機密保持契約と業務委託契約であると思われ、それらがカバーされていて機能も成熟してきているので、実際のカバー率は結構高いように思われる。ただ、惜しむらくは全く新しいスキームの契約など、一般的でないイレギュラーものには無力である。そこは致し方ないところか。

マイクロソフト「ワード」上で結果を示せる

Q3 契約書のレビューはブラウザー上で行うのか。

A3 LegalForceの特色の1つとして、マイクロソフト「ワード」のアドイン機能がある。これを用いると、ワードで契約書の編集をしながら随時LegalForceのレビュー結果等を参照して編集作業を行うことができ、大変好評である。

LegalForceの特長の1つであるワードアドイン機能。編集しながらAIによるレビュー結果等を随時参照できる
LegalForceの特長の1つであるワードアドイン機能。編集しながらAIによるレビュー結果等を随時参照できる

確かにこれは便利だと思った。ブラウザーとワードを往復する手間がなく、ワードの中でレビューと編集を統合的に処理できるのはストレス軽減につながる。大型のモニター、特に縦長モニターを用いると、編集対象文書とレビュー結果を画面上に広々と表示しながら作業できるので、お勧めである。

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