2019年6月29日、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)が閉幕した。開催に当たり、大阪府警などが警察官3万2000人を動員するなど最高レベルの警戒態勢が敷かれた。20年夏には東京五輪も控えており、防犯やテロ対策などの重要性が高まっている。弁護士の二木康晴氏に、AI(人工知能)による犯罪予測について聞いた。

AIによる犯罪予測のイメージ
AIによる犯罪予測のイメージ

Q1 データを活用した犯罪予測はどのくらい進んでいるのか。

A1 過去の膨大な犯罪データなどから将来の犯罪の発生を予測する試みは昔から行われている。

 2016年10月、京都府警は、過去10年間に府内で起きた約10万件の事件状況などを分析し、防犯や捜査に役立てる「予測型犯罪防御システム」の運用を開始した。同システムでは、ひったくりや痴漢など数種類の犯罪について傾向を分析し、時間・場所ごとの発生確率を地図上に色分けして示す。

 17年8月には、米シカゴ市警察が、導入した犯罪予測システムにより、シカゴ市内のある地域において凶悪事件が激減したという成果を発表した。同年1月から7月にかけて、発砲事件が39%、殺人事件が33%減ったとのことである。シカゴ市警察で使われた技術の1つは、「HunchLab」とよばれるシステムで、過去の犯罪データや当該地域の地域経済の浮き沈み、1日のうちの時間帯ごとに異なる事象の周期、季節ごとに変わる事象の周期や天候といったさまざまな要因から、犯罪の一定のパターンを見いだすものである。

Q2 今後の犯罪予測はどのように進展していくのか。

A2 総務省が、AI活用が望ましい分野について有識者にアンケートを行ったところ、「監視カメラ映像や不審者目撃情報等と連動した、犯罪発生の予兆の高度な分析」や、「未知のサイバー攻撃や内部犯行等による不正アクセスや、不正送金などの金融犯罪の高度な検知」といった分野が約70%となった(総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(平成28年)参照)。

 今後AIが発展することにより、単に地域や日時を絞った抽象的な犯罪の発生予測だけではなく、個別の行動などに基づいた具体的な犯罪予測が進むと考えられる。