効果的な初期研修が対策の柱に

Q5 不適切行為をさせないための対策とは?

A5 事前対策として、不適切行為をさせないこと及びSNSにアップロードさせないことの2つに分けることができる。

 まず、アルバイトに不適切行為をさせないための対策について、第1は、初期研修によって、企業や店舗の経営方針や運営理念を説明し、不適切行為をしてはならないということをアルバイトに十分理解させることである。そのためには、初期研修の内容として、特に飲食店の場合、人の口に入る物なので、床に落ちた食材を使用した場合等には、最悪の場合人の生死にかかわることがある旨について事例を交えて説明することや、そのことについてディスカッション等をすることが考えられる。

 そして、アルバイトに対しては、そのような初期研修によって不適切行為をしてはいけないことについて十分理解させたうえで、禁止事項の誓約書に署名させることが有益であると考えられる。

 また、アルバイトの業務中において、店舗にアルバイトが数人いるような場合はアルバイトだけにするのではなく、正社員を常駐させ、監督をさせておくことで抑止的効果が期待できると考えられる。ただ、特に若い正社員の場合、アルバイトと一緒になって不適切行為をする可能性があることは否定できず、また、人件費のコスト面でも難しい場合があるであろう。正社員の常駐が難しい場合、監視カメラを設置することにより、抑止的効果が期待できると考えられる。また、将来的には、人に監視カメラの映像を監視させるのではなく、AIによって監視させる可能性もあるであろう。

 フランチャイズチェーンにおいては、フランチャイズ本部の直営店だけではなく、加盟店の店舗も存在する。加盟店の店舗においてアルバイトと雇用契約を締結しているのは、フランチャイズ本部ではなく加盟店であることから、アルバイトに対する初期研修については、本来的には加盟店が責任をもって行うべきである。

 しかし、一度バイトテロが起こると、フランチャイズチェーン全体のブランドに傷がつき、その影響も大きいことから、フランチャイズ本部は、加盟店の経営者を通じて、加盟店のアルバイトに関しても積極的に指導を行う必要があると考えられる。また、アルバイト雇用時の初期研修だけでなく、アルバイトが不適切行為をしないように継続的に注意喚起をする必要があると考えられる。

Q6 SNSにアップロードさせないための対策とは?

A6 SNSにアップロードさせないためには、不適切行為に対する対策と同様に、アルバイト雇用時の初期研修が重要となってくる。ある調査結果では、自己のSNSに対する投稿が問題になったことがある人の8割以上が自分の投稿について問題になると思わなかったと答えている。このことからすると、どのような投稿が問題となるのかといったことを初期研修の中心テーマとしなければならない。

 具体的な内容としては、まず、過去のバイトテロの事例を紹介し、バイトテロを起こすと勤務している店舗が閉店せざるを得ないことになることや、店舗運営企業に対し多額の損害賠償金を払わなければならないことがあること、また、たとえ匿名アカウントへの投稿であっても個人名や大学等が特定され、それがデジタルタトゥーとしてネット上に一生残り、就職や結婚等に影響し、自分だけでなく家族や恋人、関係者にも影響が及ぶことなどを理解させる必要がある。

 また、SNS一般の使用方法について注意喚起するのではなく、個々のSNSそれぞれについてその特性に沿った注意喚起が必要であり、仮に拡散力が弱いSNSであっても、Twitterのような拡散力の強いSNSに転載されて拡散されるおそれがある点についても、注意喚起する必要がある。特に、新たなSNSが登場した場合には、そのSNSごとに注意喚起する必要がある。そして、上記SNSの利用に関するリスクについて理解させたうえで、SNSの利用に関する誓約書に署名させることが有益である。

 さらに、アルバイトの業務中においては、そもそもスマートフォン等、写真や動画を撮影できる機器を勤務場所に持ち込ませないように、持ち込みを禁止することが効果的であると考えられる。より厳格に対策をするのであれば、単に社内ルールとしてスマートフォンの現場への持ち込みを禁ずるのではなく、支給する制服にポケットをなくすことや就業時には保有するスマートフォン等をロッカーや金庫へ預けなければならないといった対策を講ずることも検討に値する。

 (写真/シャッターストック)