ICTの発達で人の働き方が多様化する中、若者を定着させ、地域を活性化させようとする地方都市が出てきた。例えば、鹿児島県奄美大島の奄美市は、2015年から「フリーランスが最も働きやすい島化計画」(※1)としてフリーランスの育成や誘致に力を入れる。今回も法規制の問題ではなく、地域活性化の例として高橋喜一弁護士がその取り組みを追った。

Q1 フリーランスの育成や誘致に力を入れることになったきっかけは何か。

A1 もともと島内には大企業が少なく、人口が減少傾向にあった。ただ、少しずつ腕のいいエンジニアや職人がUターン、Iターンしているという現象もあり、またICTの発達によりクラウドソーシングという仕事の受発注の形態も生まれた。そこで、島内で働くフリーランスを支援する基盤を整備することにより、市における仕事誘致、定住促進、子育て支援の実現を、2015年に計画として策定した。

市役所内にフリーランス支援窓口が設置されている
市役所内にフリーランス支援窓口が設置されている

Q2 「フリーランスが最も働きやすい島化計画」で行われる支援にはどのようなものがあるのか。

A2 まずはフリーランスの育成支援として、企業と連携した多様な働き方の支援を行っている。人材育成セミナーや税務申告講座を開いている他、市にフリーランス支援窓口を設け、市民からの各種相談を受けている。空き家バンク等を用いた移住支援や、奄美空港からすぐ近くのコワーキングスペースを1時間50円で利用できる取り組みもしている。

Q3 現在どのような企業が支援に参画しているのか。

A3 東京からランサーズ、GMOペパボ、ピクスタ、スクー等が、また地元奄美市の企業のしーま(※2)が支援に参画している。

フリーランスを支援するための各種講座が開かれている
フリーランスを支援するための各種講座が開かれている

Q4 各社はどのような役割分担で参画しているのか。

A4 ランサーズはフリーランスのキャリア形成、時間管理、セルフプロデュースの仕方などについてコンサルティング的な業務を提供してくれている。GMOペパボはハンドメード製品の販売支援、ピクスタは写真家向けの技術指導、スクーは講座の提供などだ。しーまは島内外からのライティング(記事などの執筆)の案件のマネジメント等を行っている。各社とも、この計画の意義に賛同して協力してくれている。また、各社とも本業のサービスのすそ野を地方で広げることに意欲を見せているようだ。

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