2018年12月、警察庁は道路交通法の改正試案を公表し、パブリックコメントを募集した。改正試案は、自動車の自動運転技術の実用化に対応するためのものであり、一定の要件を満たせば、自動走行装置を使用中に、運転者に携帯電話の使用などを認めるものである。弁護士の二木康晴氏に、改正試案について聞いた。
Q1 今回の改正試案はどのような内容か。
A1 今回の道路交通法の改正は、いわゆる自動運転のレベル3(システムがすべての動的運転タスクを限定領域において実行、作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に適切に応答)の自動運転に対応するためのものである。
具体的には、自動運行装置を使用して自動車を用いる行為を道路交通法上の「運転」に含むことが規定されたり、自動運行装置を使用して自動車を運転する際に、一定の条件を満たさなくなった場合に直ちに適切に対処することができる態勢でいるなどの場合には、携帯電話やカーナビを注視することなどが可能になったりする。
Q2 自動運転システムの使用中、ハンドルやアクセルにまったく触れなくても「運転」といえるのか。
A2 レベル3の自動運転システムでは、自動運転システムの作動を開始させることと、作動中のシステムを停止させることについては、いずれもシステムの使用者、つまり運転者に決定権があるので、使用者(運転者)がシステムの作動を支配していると考えることができる。ただし、レベル4以上の自動運転システムになった場合には、システムの使用者がどこまで支配しているといえるのかが微妙な部分もあるため、将来的にはさらなる検討が必要となるだろう。
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