ドローン(無人航空機)の活用を試みている自治体や企業は多い。その一方、航空法による規制などで実用化をためらう自治体や企業も少なくない。そんな中、東京都のあきる野市は2016年にプロジェクトチームを発足させ、現在は災害時に孤立集落などへ物資を運搬する態勢を実用化し、その他の分野でも活用を検討中だ。今回は、法規制の問題としてというより、ドローン活用の好例として、その取り組みを解説する。

Q1 ドローン導入の契機は何か。

A1 あきる野市は山間地を有する自治体で、急傾斜地が多く、土砂災害の発生する可能性の高い地域がある。また、土砂災害以外にも、大雪による孤立地域が実際に発生しており、その支援策が課題であった。

 特に東日本大震災後、災害対策の強化は強く意識されていた課題であった。しかし、同時に被災地において消防団員などの安全を確保する必要性も高い。そこで、人間に代わって救助活動を行うことができるのではないかと、ドローンに注目していた。

Q2 ドローン導入に当たって重視したことは何か。

A2 16年3月に、DJI JAPAN(東京・港)およびスカイシーカー(東京・千代田)(※1)と「ドローンの安全かつ有効な活用促進に向けた合意書」を締結した(※2)。ドローンは、機材を購入して足りるものではなく、購入後のメンテナンスやパイロットの育成が行われないと宝の持ち腐れになってしまうからである。そこで、機材の提供から運用までをトータルコーディネートできるこの2社と協力し、取り組みを進めていくことになった。

ドローンパイロットを育成するための実技研修の模様
ドローンパイロットを育成するための実技研修の模様

Q3 合意書締結後の動きはどんなものか。

A3 学校跡地にある秋川渓谷戸倉体験研修センター(通称:戸倉しろやまテラス)を企業に提供し、ドローンパイロットの育成を行っている。民間から講習を受けに来る人がいる他、あきる野市の職員にもドローンパイロットが何人か誕生しており、災害時に救助活動を行える人材を育成、確保している。機材は現在、撮影用3機、物資搬送用1機の計4機がある。

Q4 機材の選定に当たって重視したことは何か。

A4 最重要視したのは安全性と操作性である。災害対応は時間との勝負なので、職員が自分ですぐ飛ばせる機体というのも大事で、研修もセットで提案してもらえることが必要だった。災害現場での使用は、他国で例のない使い方だったが、DJIはこうしたニーズに合わせたカスタマイズなどにも対応してくれた。今の機体は、7.4キロの重さを20分間ほど飛ばせられる仕様で、かつ防水・防塵仕様で雨が降っているような状況でも飛ばすことができる。

 例えば今回導入したQS8という機体は、バードアタック(鳥類との空中接触)などによって8つあるうちの羽が1つ取れても、機体が自動的に回転して着陸できたり、バッテリーがなくなる前に元の場所に戻ったり、墜落を自動的に防止したりする機能が備わっている。研修についてはスカイシーカーが戸倉で研修を行っており、既に市職員が40人ほどドローンパイロットとしての育成課程を修了している。

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