RPA(Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉は2016年ごろから世に知られてきた。自治体にはまだそれほど普及していないが、主に定型的に大量処理をする部門で効果を発揮するので、行政事務には親和性が高いと言える。人力で行っていた大量の事務をRPA化し、業務効率の大幅な改善を実現したつくば市のケースを追った。
Q1 RPA導入の経緯は?
A1 市役所の業務では、法令等で定められた様式により、住民等から申請されたデータの入力や印刷、別システムへの手作業での入力などの煩雑な作業が大量に発生する。ここに業務効率化の余地があると考え、民間企業との共同研究の形でスタートした(※1)。
別の自治体では、大規模なシステムを開発してRPA化を進めているところもあるが、つくば市の環境ではコストと見合わないため、業務プロセス全体の自動化ではなく、特に負担の大きい大量かつ単純な作業に絞ってRPA化を検討することにした。
Q2 主にどのような分野でRPAを導入しているのか。
A2 RPAの導入に当たっては、全庁規模でアンケートを実施し、その結果を分析したところ、定型的な業務が大量に発生する部門であり、省力化効果が高い市民税課及び市民窓口課にて導入をすることとなった。次は福祉などの分野で活用を検討している。
Q3 使用しているツールは何か。
A3 NTTアドバンステクノロジの「WinActor」(※2)を用いている。
RPAツールは国内外でさまざまなものが既に発売されているが、プログラミングなどの素養がない一般職員でもシナリオの作成やメンテナンスを行えるものがよいと考え、直感的なGUIを備え、日本語でシナリオを作成できるこのツールに決まった。
Q4 開発の工程はどのようなものか。
A4 約5カ月の共同研究期間中に順次開発を進めた。基幹システムの開発とは違い、基幹システムがカバーしない、業務の一部を部分的に自動化するというプロジェクトである。そのため、短期間かつ低コストで業務効率化が実現できるというのも、小規模開発の利点である。
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