ITが進歩した現在でも、各種窓口で住所や氏名を手書きしなくてはいけない場面は多い。今回は、現場のイニシアチブから低コストかつ短期間で窓口業務の効率化を実現した千葉県船橋市の事例を、高橋喜一弁護士が紹介する。行政事務のケースだが、民間企業にも大いに参考になるヒントがそこにはあった。
Q1 船橋市の「書かない窓口」とはどのようなものか。
A1 2017(平成29)年12月より試験導入され、本年2月より本運用されている「申請書作成支援窓口」を指す(※1)。
住民の転入、転居、転出という主要な窓口業務においては、来庁者が記入すべき書式が多数あるが、職員が来庁者の申請内容を聞き取りしながら窓口のパソコンにて入力することにより、必要な各種申請書類を正確に作成することが可能となっている。
転居等においては、例えば児童手当関係の申請書や、身障者手帳、国民健康保険などさまざまな部署に多くの申請書を提出する必要があるが、この取り組みはそれらの書類を同時に、かつ正確に過不足なく作成することを目指している。
Q2 どのような流れで申請書を作成するのか。
A2 転入、転居、転出などの申請に訪れた住民が戸籍住民課を訪れた際、職員が申請の内容を聞き取りしながら、カウンターに設置されているパソコンで入力し、申請書類の作成を開始する。その際、マイナンバーカードを持っていれば、磁気情報から住所、氏名、生年月日、性別などは自動的に入力される。そして、画面の案内に従って、来庁者の面前でヒアリング項目をチェックないし入力していくと、その人のニーズに応じた申請書類が(戸籍住民課所管以外のものも)まとめて作成される。来庁者は、出力された申請書に氏名だけを自署し、児童家庭課、障害福祉課などその人に関係する該当部署に提出しに行く。

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