2018年8月、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、選手や大会関係者の会場入場時に顔認証システムを導入すると発表した。ボランティアを含む30万人以上の顔情報などを事前に登録し、顔認証によって不正入場等を防止する。今回は、弁護士の二木康晴氏に、顔認証の法的問題点を聞いた。

Q1 顔認証は広がっているのか。

A1 従前、本人確認のための顔認証は、撮影時の明暗、顔の向きや角度等によりその精度が大きく左右されてしまうことから、実用化には課題があった。しかしながらAI(人工知能)技術の発展により、現在ではその精度が飛躍的に向上している。スマートフォンやパソコンにおいても顔認証が採用される例が増えており、18年8月までに羽田空港を含む5つの空港の上陸審査場に顔認証ゲートが導入されている。さらに、最近では、決済等でも顔認証を活用し、まさに「顔パス」での代金支払いを実現しようとする試みも検討されているところである。

Q2 顔認証は他の生体認証と比べて何が優れているのか。

A2 顔認証の大きな特徴の一つは、特別な提供動作が必要ないことにある。例えば、指紋認証や静脈認証は、指や手のひらを特定のハードウエアに乗せるという動作が必要となるが、顔は日常的にさらしている部位なので、本人にあまり意識をさせずに認証を行うことができるし、歩きながら認証を行うことも可能である。また、大勢の人がいる中で、特定の個人を探し出すことにも活用できる。例えば、東京ドームで子どもが迷子になった際に、親が子どもの写真さえ持っていれば、東京ドーム中の防犯カメラを活用し、一発で子どもの位置が分かるようになるかもしれない。