夏休みに帰省する人や旅行に行く人は多いだろう。しかし、この時期は飛行機にしろ、ホテルにしろ、価格がとにかく高い。閑散期の2倍や3倍は当たり前となっている。このように需要や供給に応じて価格を変動させることを「ダイナミックプライシング」と呼ぶが、AI(人工知能)の活用が進むにつれ、ダイナミックプライシングの中でAIが適用される領域が拡大している。今回は、弁護士の二木康晴氏に、AIによるダイナミックプライシングの法的問題点を聞いた。

Q1 ダイナミックプライシングは最近、広く普及し始めているのか。

A1 実は、ダイナミックプライシングという考え方自体は、それほど目新しいものではない。例えば、航空料金や宿泊料金がその代表例である。需要が集中する季節や時間帯を把握しやすい業界では、ダイナミックプライシングを行うことはそれほど難しい問題ではない。

 一方、複雑な要因が絡み合って需給が決まるような商品においては、刻一刻と情報を収集・分析して適切な価格をリアルタイムで表示するということは難しかった。ただし、AIが登場したことにより、これまでは難しかった領域においてもダイナミックプライシングが可能となってきた。

 最近では、2018年6月に三井物産がヤフーなどと共同で、AIを活用したダイナミックプライシングのサービス事業を行う新会社「ダイナミックプラス株式会社」を設立して話題となっている。今後、さまざまな分野でダイナミックプライシングが進むのではないか。

三井物産とヤフーが出したリリース
三井物産とヤフーが出したリリース

Q2 価格が変わることに法的な問題はないのか。

A2 事業者には営業の自由が認められており、商品やサービスを販売・提供する際に、どのような価格を設定するかを自由に決められるのが原則である。そのため、ダイナミックプライシングのように需要と供給に合わせて価格を変更しても、基本的に問題はないだろう。

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