※「最新マーケティングの教科書2019」(2019年1月9日発行)の記事を再構成

人はどんな商品、サービス、広告、ロケーションに引きつけられるのか。いわゆる「刺さる」感覚をビッグデータ、AI(人工知能)の活用から解明する動きが活発化。婚活、不動産の物件検索、バナー広告などさまざまな業界で成果が上がり、活用が進んでいる。

 「魅力工学」は、人々に感動を与えるヒット商品・サービス、あるいは広告などを生み出す要素について研究するアプローチのこと。近年、この曖昧模糊(あいまいもこ)とした「魅力」を、ビッグデータ、AI(人工知能)活用から解明する取り組みが産学で進んでいる。2017年には電子情報通信学会に「魅力工学研究会」が設立された。東京大学大学院情報理工学系研究科の山崎俊彦准教授らが主導し、さまざまな業界で魅力工学プロジェクトが進んでいる。

魅力工学の具体例(1)【婚活】
魅力工学の具体例(1)【婚活】
会員プロフィルシート、いいねのやりとり、マッチング履歴から魅力度を算出し、要因を分析。マッチング精度が高まるアルゴリズムを構築

 例えば婚活ビジネス。AIを活用して、婚活会員のプロフィルシートと婚活の成果を解析することで、多くの異性からアプローチがある会員の特徴を抽出したり、男女のマッチング精度を高めたりすることが可能になる。

婚活マッチング10%→30%超

 山崎准教授は、婚活サービス大手IBJの協力を得て、男女各1万人のプロフィルデータと、会員の間で交わされるチャット申し込みと了承のやりとり実績180万件を教師データに、機械学習を用いて、了承を得られる魅力を数値化し、分析した。了承に至る要素は、男性は年収、女性は年齢であることが裏付けられたが、男性の場合、「海外駐在経験(あるいは駐在予定)あり」「趣味:園芸」という自己PRの人が了承を得られやすい傾向があることが分かった。

 膨大な会員プロフィルといいね履歴の分析から、マッチング精度の向上も可能になった。チャット申し込みに対して了承を得られる率は平均10%前後だが、マッチング予測からAIが推薦する人に申し込んだ場合、了承率は31%にまで高まった。さらに顔写真についても、真顔より少し笑みをたたえた柔らかい表情の写真の方が魅力度が高く、いいね返しを得やすくなることが分かっている。この結果を受けてIBJは、プロフィルシートの書き方や掲載写真のアドバイスをする他、魅力度が高まる自然な笑顔に補正するソフトウエアも開発した。