※「最新マーケティングの教科書2019」(2019年1月9日発行)の記事を再構成
ユーザーに近い、ネットワークの「エッジ(縁)」でデータを収集・処理するという考え方。「通信量削減」「セキュリティー」「低遅延」という3つのメリットをもたらす。高速応答が求められる自動運転などの分野でも、不可欠な技術になりつつある。
ネットワーク上のサーバーにデータを集約し、そこで一元管理しながらデータを処理する。その結果は手元のパソコンやスマートフォンといったデバイス端末で閲覧する──。現在、企業が当たり前に利用しているクラウドコンピューティングはこのような利用法だ。
ところが、IoTが現実となり、店舗や家庭などに設置された膨大な数のセンサーから日々、大量のデータがサーバーに送られてくるようになると、クラウドコンピューティングでは費用対効果が悪いことが明確になってきた。データをサーバーに送信する際に通信帯域を圧迫するし、クラウド上の高価な企業向けストレージに大量のデータをそのまま記録していくのは、コストがかかる。
そこで登場したのが、データをクラウド上のサーバーに集約せず、ネットワークの「エッジ(縁)」に分散して保持し、そこで処理して、必要なデータだけをクラウド上に送るエッジコンピューティングという考え方だ。

企業のコンピューターネットワークの考え方は、これまで集中処理と分散処理の間を行き来してきた。中央に置いた汎用機にあらゆるデータを集めて一括処理する「集中処理」の時代から、ユーザーの手元にあるクライアントコンピューターとネットワーク上のサーバーを組み合わせて使う「分散処理」の時代に変わり、再びクラウド上のサーバーで「集中処理」する時代へと変遷してきた。今後は、エッジとクラウドの使い分けになる可能性が高い。
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