※「最新マーケティングの教科書2019」(2019年1月9日発行)の記事を再構成
店頭などで目の前のお客と軽妙に会話しながら巧みに商品を売り込む「実演販売」のネット版。舞台をネットに移し、同時に多数の客と“会話”しながら商品を売る手法と考えればよい。中国では既に当たり前の手法で、日本でも2018年に普及が急速に進んだ。
ライブコマースとは、リアルタイムの動画配信、視聴者からのコメント機能、そしてECの機能を包含したサービスである。配信者がリアルタイムの動画で商品を紹介しながら、コメント機能を通じて視聴者から寄せられる質問に回答してコミュニケーションを図る。視聴者が納得し、紹介されている商品を欲しいと思えば、動画を見ながらすぐに購入できる。店頭の実演販売をネット上でも実現可能にするサービスとも言える。
膨大な数の視聴者と、リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションができることが、商品の購入意欲を高めるとされる。
利用者の8割は再利用の意向
中国では既に当たり前の販売手法で、典型的なのは、インフルエンサーがアパレル店やドラッグストアなどから商品をリアルタイムの動画配信で紹介し、視聴者に購入を促すというもの。2015年に映客直播(inke Live)や花椒直播(Peper Live)などのストリーミング(生)配信サイトが導入し、翌年にはアリババグループのEC「淘宝(タオバオ)」なども対応。今では大手ECサイトのほとんどがライブコマース機能を導入済みだ。
日本でも18年から本格的な実施例が増えた。調査会社マクロミルの同年6月の調査によると、ライブコマースの認知度は30%程度だが、利用者の8割以上は今後も利用する意向を示すなど、定着する兆しはある。現在は服を販売するアパレルなどが利用の中心だが、今後はレシピ動画に登場する食材などさまざまな購買シーンに応用できそうだ。
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