「さとなお」の愛称で知られる、コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之氏は、野村ホールディングス、アライドアーキテクツと共同で、ファンベースを基盤としたマーケティング支援事業会社ファンベースカンパニー(東京・渋谷)を2019年5月7日に設立した。ファンベースが重視される時代において、多くのマーケターに欠けている視点について、エステー執行役エグゼクティブ・クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏が切り込んだ。
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鹿毛康司(以下、鹿毛) Twitterが2007年ごろに盛り上がって、その頃に「さとなお」さんという名を耳にしたんですよね。Twitterといえばさとなおさんに聞けという印象があります。
佐藤尚之(以下、佐藤) それは違います。津田(大介)さんたちが最初に話題になり、僕は第2弾という印象です。
僕はグルメ系のサイトを運営していましたが、そのサイトではご飯だけに詳しいというわけではなくて、こういう映画や音楽が好きという趣味を全部出していました。そういう人が店を薦めるというコンテキストを重視していたからです。それが、今で言う「バズる」ツイートにつながっていたイメージがあります。
鹿毛 コンテキストは日本語にすると文脈。背景が見えることが拡散につながるんですね。
佐藤 ラーメンだけに詳しい人が教えるラーメン屋よりも、色々な背景を知っている人からラーメン屋を薦められるほうが僕は信用できる。そのような背景、人間の厚みがネットは欠けていると感じます。
鹿毛 僕はグロービス(経営大学院)で講師をしています。インサイトのクラスなども請け負っていますが、どうしてもその「コンテキスト」の意味を理解できない人がいる。
例えば、ネットに書いてあること(クチコミなど)について、その背景を見るのではなく、興味のある・なし、数の多い・少ないという単純な見方しかできない人が多い。
テレビだけでモノが売れると誤解しがちなマーケター
佐藤 そういう人は多い。時間をかけて情報を咀嚼して判断することを悪とし、表面だけでも早く判断するほうがかっこいいという時代があったように思います。それだけで分かるはずがないのに。
鹿毛 さとなおさんはコンテキストを理解するのに何かトレーニングをしたのでしょうか。
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