AI(人工知能)、ビッグデータ時代のマーケティングリサーチはどうあるべきか──。次世代マーケティングリサーチを研究、実践する萩原雅之氏の連載の第3回。ビッグデータとAIによる分析には限界があり、それを補うにはマーケターが深い洞察(インサイト)を持つ必要があると指摘する。

相関関係が分かればいいのか、因果関係まで知る必要があるのか、AI分析に対する立場は2つに分かれる
相関関係が分かればいいのか、因果関係まで知る必要があるのか、AI分析に対する立場は2つに分かれる

 ビッグデータ分析やAI(人工知能)はこれが最適解だという結果を示すだけで、結論に至るプロセスを人に分かるように説明してはくれない。理由が分からない場合でも私たちは対象を理解したといえるのかに関しては、2つの立場がある。相関があって成果が出るのなら理由は不要という考え方と、成果が出ていても因果関係が明確でないものは理解したことにはならないという考え方だ。

AIのアウトプットをどう考えるか

 2017年にNHKで放送されたスペシャル番組「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」では、日本社会の解決の処方箋を探して、「健康になりたければ病院を減らす」「ラブホテルが多いと女性が活躍する」など、人間では思いつかないような変数間の相関が紹介された。専門家からは相関関係と因果関係を混同したミスリードとの批判がなされ、SNSでも炎上する事態となった。もちろんそれが処方箋であるかのような説明はすべきではないが、予想外の相関が示されたときに新しい仮説として検討してみることは悪くない。

 仮説検証だけではなく仮説発見のためにデータが使われるようになれば、因果のはっきりしない相関関係も重視されるようになる。毎日の運用から生まれるデータは消費者自身も気付かない価値の発見にもつながるだろうし、思いがけない解釈や未知の発見の手掛かりになる可能性もある。それはマーケターとAIの共同作業と言ってよい。

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