コニカミノルタジャパン(東京・港、以下KMJ)は、働き方改革支援サービスを改善し、未来をつくるキャッチコピー・ネーミングを開発。サービスを軸に据えた創造型企業へと大きくかじを切り始めた。
今回のテーマ:モノづくり型からコトづくり型への組織転換
解説編
●コトづくり型組織への転換のポイント
・自社サービスや事業の意義・価値を時代の変化に合わせて再定義する
・メンバーの思いを引き出しながら、実現したい未来価値を取り込んだコンセプト開発
・ユニークな切り口・着想を得るために、共創と独創を往復した創造プロセス
KMJでは社内で、働き方改革プロジェクトを推進してきました。この経験を基に他の企業向けに働き方改革支援サービスを提供するプランが持ち上がりました。そのコンセプトを再定義するプロジェクトにBIOTOPEが協力することになりました。
政府主導で「働き方改革」の取り組みが広がり始めた中で、以前からその方面のノウハウを蓄積しているKMJ独自のユニークな価値やビジョンを打ち出していくことが求められていました。
そこで、現在のサービス内容だけではなく、働き方改革支援サービスをどのように進化させていくか、という未来価値も含めた事業再定義のためのネーミング、それを伝えるためのキャッチコピーを検討・提案しました。
Step1:思いとビジョンの共有
まずは、ワークショップ形式で社内のキーメンバーの思いと未来へのビジョンをヒアリングしました。
現在提供しているサービス単体の機能訴求だけでは差別化が難しいことを共通の認識としながら、独自のサービスとして関わる人たちの思いやビジョンをネーミングアイデアの視点の一つとして取り入れました。また各メンバーの思いを可視化し、互いの異なる考えへの共感を高め、意見を引き出しました。
そこで、2030年における本事業の未来像やつくりたいブランド像、そして事業を通じて日本社会をどう変えていきたいか、といった観点を設けました。
「最先端の働き方を実践・提案する働き方改革企業の先駆者に」といった現状の延長上にある理想だけでなく、「企画や新規事業アイデアを考案する時間ができる」「多様な人や考えや体験を通し価値観を広げる」といった、これまでの事業フレームとは異なる意見も散見されました。
Step2:キャッチコピーの着眼点を探索
現状のままでは競合で差異化できず、KMJらしさを打ち出せないことが課題でした。社内でブレーンストーミングを実施し、まだ気づいていない視点の探索に注力しました。
働き方改革に関するサービスでの競合を分析すると、一つの傾向が判明しました。仕事の効率を高める取り組みが非常に多いことです。ところが、それ自体は働くことの目的にはなり得ません。効率を高めることで、無駄な時間を削減できます。何かの時間が削減されれば、別の時間が「増える」はずです。
「減らすことは増やすことにもつながっている」という、今まで見えていなかった切り口を発見したことで、ネーミングの方向性が定まりました。
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