ブランド担当者がコロナ禍で来期の戦略を考える中、マネジメント層がすべきこととは。「ビジョンと目的の設定はマネジメントの最重要な仕事」と、P&Gで17年間ブランドマネジメントを経験し、資生堂ジャパンでCMO(最高マーケティング責任者)も務めた音部大輔氏は断言する。
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5月の大型連休後には、2020年の見込みが外れることは確定的になっているでしょう。大きく上振れするいくつかの業種・企業と、大小の下振れをする多くの業種・企業に分かれるかもしれません。
いずれのケースでも、19年に設定した20年の年間計画や、現在進行中の中期経営計画通りではなさそうです。年間の、あるいは中期の戦略の多くは見直されるべきでしょう。なぜなら、戦略の構成要素である「目的」か「資源」のいずれか、あるいは両方が大きく変化してしまっていると考えられるからです。
●マーケターは消費者理解の「地形図」を書き直すべし
●マーケティングトップは「資源の変化」を把握し、「目的」を明確化せよ ←今回はココ
(1) まずは目的を設定する
まず考えるべきことが、「21年に何が達成できれば成功したといえるか」を明示することです。「どこに行きたいか」は、現実的には「何ができるか」に依存する部分もあるかもしれません。しかし、できることベースの目的地ではなく、「行くべき目的地」を示すことが組織には幸いです。
もし21年が近すぎるなら、25年に設定してもいいでしょう。少し遠い未来にすることで、制限と現実にまみれたイメージから脱却できるかもしれません。25年にはコロナは落ち着いて平時になっていると仮定できます。東京五輪は良くも悪くもとっくに過去の話で、次の五輪もすでに終わっているのが25年です。自分たちはどうありたいでしょう。
組織のパーパスや創業時の理念などが大いに参考になると思います。どう達成するかは後から考えます。「みんなで共有し、強く共感して信じることができ、その達成のために頑張れる、21年(あるいは25年)の姿」を描きましょう。できれば、SMAC(Specific-Measurable-Achievable-Consistent)、すなわち具体的で、測定可能で、達成可能で、一貫性のある表記ができるとすばらしいです。極力、数値化できるといいでしょう。
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