リピートにつながらない新規顧客(トライアル)は有害だ。トライアルの獲得はマーケティングの醍醐味であることは間違いないが、そこから得られる利益は多くの場合マイナスであり、リピートにつながってこその新規顧客獲得である。こうした考えを徹底させるにはよく使われるパーチェスファネルではなく、エレベーター型の概念を採用すべきである。

「1人でも多くのお客様と出会う(=新規顧客になってもらう)」というスローガンは共感しやすいので見かけることが多いが、ブランドの成長を目指す方針としてはあまり効果的でも効率的でもない。
現実的には、「当該カテゴリーのユーザー」のように、使ってもらえる可能性のある全員を顧客に持てるようなブランドはほとんどない。そもそも、ブランドを規定した時点で焦点を絞った消費者像を設定しているはずだからだ。よしんば広範なターゲットを設定していたとしても、その分、競合ブランドとの競合関係も広がってしまうから、熾烈な競争にさらされるだろう。現実的に、市場の50%が受け入れてくれるブランドはそれほどたくさん存在するわけでもない。
意外と意識されていないことだけれど、リピートにつながらない新規顧客(トライアル)はむしろ有害だ。
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