ブランドが「意味」であるならば、その意味管理、意味作りの活動全般をブランディングと呼ぶ。ブランドを確立して、自転車操業的な施策の連発に頼ることなく持続的な成長を志向するのがブランドマネジメントが目指すものである。これはユーザーベースを確立することを通して実現されるが、4P(Product, Place, Price, Promotion)はそのための手段として運用する。メーカーであれば、作ったモノに適用可能な名前をつけて売るのではなく、ブランドの意味を具現化するモノを作るのがブランドマネジメントの方法である。

『不思議の国のアリス』には、ブランドマーケターがターゲットを検討する上で学ぶべき点がある
『不思議の国のアリス』には、ブランドマーケターがターゲットを検討する上で学ぶべき点がある

 いろいろな製品カテゴリー、文化背景の企業でブランドマネジメントに関わってきたが、どのブランドマネジメント組織でもかなりよく似た仕組みでブランドマネジメントを行っている。ブランドを明示する規定書があり、ブランドを構築する際の設計図として使われる。

 どこかに共通の始祖があるのか、同じ必要性に基づいて進化を遂げたから似たものになったのか分からないが、ブランドマネジメントの専門家が組織を移籍しても比較的順応しやすい環境が世界規模で整っている。クルマのメーカーを変えても簡単に運転できるようなものだ。今回は各社に共通する要素を外観しつつ、ブランドマネジメントの要諦を示したい。共通して定められるのは「市場」「ターゲット」「ベネフィット」の3項目である。

市場とは、すなわち競合である

 どの市場でブランドを構築するかというのは、ブランドそのものの議論ではないが、ブランディングにとても大きな影響を及ぼす。市場を定義する際には、既存の製品カテゴリーのみを注視することが多いが、どの製品やブランドがソース・オブ・ビジネス(Source of business、売り上げ獲得の源泉)となり得るのかを考えることで、より広い視点を持つことができる。(関連記事「製品性能で勝るのに、あなたのブランドが1位になれないワケ」

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