競合先は必ずしも同じ業界の同じ形態のものとは限らない。その競争関係は、ベネフィット、財布、胃袋、時間といった複数の軸で説明が可能だ。自分のブランドが提供するベネフィットがどのような競合と市場を構成していくべきか俯瞰することはブランド戦略を立案する際に最も重要な懸案事項の1つである。

あなたが万年筆メーカーのマーケターだとしたら何が競合だと考えますか……
あなたが万年筆メーカーのマーケターだとしたら何が競合だと考えますか……

 以前どこかで読んだ本にこのテーマが書かれていたのがとても印象的で、多少のアレンジを加えてお話しすることがある。残念ながら、誰のなんという名前の本だったか失念してしまった。米国の経済雑誌のコラムを書籍化したものだったと記憶しているけれど、定かではない。

 この万年筆の競合は、もちろん、同じ棚に並んでいる別の万年筆だということは誰にでも分かる。もしかしたら、そのさらに向こう側の棚に並んでいる高級ボールペンも競合かもしれない。ここまでは、ほとんどのマーケターにとって自明なことだ。そして、ここでとどまることも少なくない。それだけですか?と聞かれると、少し前に進む。紙に書く機能という意味では、100円のボールペンも、ひょっとすると鉛筆も競合と呼べるかもしれない。

 文字を記す、というふうに解釈するとコンピューターやタブレットのワードプロセッサーなども競合となってくる。電子的に書かれる文字は手書きの文字よりも多そうだ。では、文字は自分自身のために記すものか、それとも他者とのコミュニケーションに使うものか。多くの文字は、他者とのコミュニケーションに使用される。であれば、ほかのコミュニケーション手段も競合となり得る。例えば電話だ。